子どものアルバイト収入と扶養控除【2026年版】103万円の壁・シングルマザーが知るべき税金と年末調整の手続き
「子どもがアルバイトを始めたけど、私の税金はどうなるの?」「103万円って今も同じ金額なの?」——高校生・大学生の子どもがバイトをし始めると、こんな疑問が湧いてきます。
実は2025年(令和7年)の税制改正で、子どもの給与収入と親の扶養控除の関係が大きく変わりました。旧来の「103万円の壁」はすでに過去のものとなり、2025年分の年末調整から新しい基準が適用されています。ただし、変わったのは「壁の位置」だけでなく制度の仕組み自体です。正確に理解しないと損をすることがあります。
💰 この記事でわかること
- 2025年改正後、子どもの給与収入が何円を超えると親の扶養控除が外れるか
- 扶養控除の種類(一般扶養・特定扶養)と控除額(所得税・住民税)
- 新設「特定親族特別控除」とは何か(19〜22歳の子どもの場合)
- 扶養控除が外れたとき、シングルマザーの手取りはどのくらい減るか
- 児童扶養手当への影響と年末調整・確定申告での手続き
1. 扶養控除の基本:子どもの年齢別の控除額(2026年現在)
「扶養控除」とは、納税者(お母さん)が扶養している親族の合計所得金額が一定以下の場合に、納税者の所得から一定額を差し引ける制度です(所得税法第84条)。控除額は子どもの年齢によって異なります。
※16〜18歳が一般扶養(控除38万円)、19〜22歳が特定扶養(控除63万円)と覚えておきましょう。大学生年代は控除額が大きいため、扶養が外れた場合の影響も大きくなります。
子どもが扶養控除の「対象になる」条件(所得要件)
控除対象扶養親族になるには、子どもの合計所得金額が一定以下であることが条件です。2025年(令和7年)の税制改正(令和7年12月1日施行)により、この所得要件が変わりました。
つまり2025年(令和7年)の年末調整から、子どもの給与収入が123万円以下であれば扶養控除の対象として申告できます。「103万円の壁」はすでに「123万円の壁」に変わっています(出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」)。
2. 19〜22歳の子どもには新制度「特定親族特別控除」が加わった
2025年(令和7年)の税制改正では、扶養控除の所得要件の引き上げに加えて、19〜22歳の子ども向けに「特定親族特別控除」(所得税法第84条の2)が新設されました。これは大学生年代の子どもを持つ親を対象にした、段階的な控除の仕組みです。
特定親族特別控除とは
子どもの合計所得金額が58万円を超えて扶養控除の対象外になった場合でも、合計所得金額が123万円以下(給与収入のみの場合は188万円以下)であれば、段階的に控除が受けられる制度です(令和7年12月1日施行・令和7年分の所得税から適用)。
※住民税の特定親族特別控除は令和8年度分(2026年6月以降)から適用されます(出典:国税庁「No.1177 特定親族特別控除」)。
この制度のポイントは、子どもが少し稼ぎすぎても控除がゼロになるのではなく、段階的に減少する設計になったことです。旧制度では103万円を1円でも超えると扶養控除が全額なくなるという「崖」がありましたが、特定親族特別控除によって19〜22歳の子どもについては崖がなだらかになりました。
3. 扶養控除が外れると母親の手取りはどのくらい変わるか
扶養控除が外れると、母親の所得税と住民税の両方が増えます。実際の影響額は母親の収入・所得税率によって変わりますが、目安として確認しておきましょう。
試算例①:16〜18歳の子どもが一般扶養控除(38万円)を外れた場合
一般扶養控除38万円が外れると、課税所得が38万円増えます。
- 所得税(税率5%の場合):38万円 × 5% = 年1万9,000円の増税
- 所得税(税率10%の場合):38万円 × 10% = 年3万8,000円の増税
- 住民税(税率一律10%):33万円 × 10% = 年3万3,000円の増税
合計すると、税率5%の世帯では年間約5万2,000円、税率10%の世帯では約7万1,000円の手取り減少につながります(住民税の対象年度は翌年度から)。
試算例②:19〜22歳の子どもが特定扶養控除(63万円)を完全に外れた場合
- 所得税(税率5%の場合):63万円 × 5% = 年3万1,500円の増税
- 所得税(税率10%の場合):63万円 × 10% = 年6万3,000円の増税
- 住民税(税率一律10%):45万円 × 10% = 年4万5,000円の増税
合計すると、税率5%の世帯では年間約7万6,500円、税率10%の世帯では約10万8,000円の手取り減少です。大学生の子どもの扶養控除(63万円)が外れると影響が大きいことがわかります。
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4. 子ども自身の税金:アルバイト収入が一定を超えると課税される
子どもが一定額を超えてアルバイトをすると、子ども自身にも税金がかかるようになります。親の扶養控除とは別の話です。
子ども自身の所得税(2026年現在)
2025年(令和7年)の税制改正により、給与所得控除の最低保障額が65万円に引き上げられ、基礎控除も最大95万円(合計所得金額に応じて段階的に引き上げ)に改正されました。これにより、給与収入のみの場合の子ども自身の所得税課税ラインも変わっています。
ただし、令和8年(2026年)12月1日施行の令和8年度改正により基礎控除がさらに引き上げられるため、課税ラインは今後も変動する予定です。2026年(令和8年)分の確定的な数値については、国税庁の最新情報を確認してください。
子ども自身の住民税(令和8年度分から)
住民税(均等割)は給与収入のみの場合、令和8年度(2026年6月以降)から給与収入110万円以下であれば非課税となりました(改正前は100万円)。給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられたためです(出典:東京都江戸川区「令和8年度分住民税から適用されるもの」)。
また住民税(所得割)は、自治体ごとの均等割の判定に加えて、所得割もかかります。子ども自身の税金については学校や市区町村の窓口でも相談できます。
5. 児童扶養手当への影響:子どもの収入と所得制限の関係
児童扶養手当(こども家庭庁所管)の所得制限は、母親本人の前年所得を基準に判定します。子どものアルバイト収入は母親の所得に直接合算されるわけではありませんが、間接的な影響があります。
扶養親族数が変わると制限額が変わる
児童扶養手当の所得制限限度額は、扶養親族の人数によって決まります。子どもの収入が増えて扶養控除の対象外になると(給与収入が123万円を超えるなど)、扶養親族の数がその分少なくなります。扶養親族が1人減ると、全部支給・一部支給の所得制限限度額がそれぞれ38万円引き下がります。
たとえば、子ども1人を扶養しているシングルマザーで、その子どもが123万円超のアルバイト収入を得て扶養対象外になった場合、扶養親族ゼロとして所得制限が適用されます。母親の所得が変わらなくても、扶養人数の変動だけで手当が減額・停止される可能性があります(出典:こども家庭庁「児童扶養手当について」)。
📋 児童扶養手当の所得制限限度額(目安)
扶養親族等の数が0人の場合:全部支給 690,000円、一部支給 2,080,000円
扶養親族等の数が1人の場合:全部支給 1,070,000円、一部支給 3,460,000円
※上記は所得額(収入から給与所得控除等を引いた額)。単位:円。2024年11月改定後の額。正確な金額は現況届の際に市区町村に確認してください。
子どもが高校生・大学生でアルバイト収入が増えるタイミングは、現況届の際に扶養親族数の変更が必要になる場合があります。毎年8月の現況届で確認・申告してください。
6. 年末調整・確定申告での手続き
母親側:勤務先での年末調整
毎年秋に勤務先から渡される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に、扶養している子どもを記入します。子どもの給与収入(見込みを含む)が123万円以下であれば扶養親族として申告できます。
子どもが19〜22歳で、給与収入が123万円超〜188万円以下の場合は、新設の「給与所得者の特定親族特別控除申告書」(令和7年分から新設)も別途提出が必要です。申告書には子どもの合計所得金額を記入します。
年末時点で子どもの収入が見込みより増えた場合は、翌年の確定申告で修正申告することもできます。逆に扶養控除を申告し忘れていた年がある場合、5年以内であれば更正の請求(申告の訂正)が可能です。
子ども側:確定申告が必要になるケース
子ども自身が確定申告をしなければならないのは、主に次の場合です。
- 給与収入が2,000万円を超える場合(一般的なアルバイトでは該当しない)
- 複数のアルバイト・勤務先から給与を受け取っていて、合計が一定額を超える場合
- 源泉徴収票に「年末調整未済」と記載されている場合
- 年の途中で退職して年末調整を受けていない場合
1か所のアルバイトのみで、勤務先が年末調整を行っている場合、子ども自身の確定申告は基本的に不要です。ただし、源泉徴収されすぎた税金を取り戻したい(還付申告)場合は確定申告できます。
📋 年末調整チェックリスト
- 子どもの1年間の給与収入の合計を確認する
- 123万円以下なら「扶養控除等申告書」に記入して申告
- 19〜22歳で123万円超の場合は「特定親族特別控除申告書」を提出
- 前年の申告内容と変わった場合(子どもが就職・独立など)は「異動」欄に記入
- 現況届(毎年8月)の際に扶養人数の変更を確認する
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ママが正しい「知識」と「情報」を持つFPに相談【ベビープラネット】まとめ:2026年版・子どものバイト収入と扶養控除の整理
- 「103万円の壁」はすでに「123万円の壁」に変わっている(2025年分から)。子どもの給与収入が123万円以下なら、引き続き扶養控除の対象。
- 16〜18歳は一般扶養控除38万円、19〜22歳は特定扶養控除63万円。控除額は変わっていないが、適用される収入ラインが引き上げられた。
- 19〜22歳の子どもの給与収入が123万円超〜188万円以下(合計所得58万円超〜123万円以下)のアルバイトをする場合、新設の「特定親族特別控除」が段階的に適用される。扶養控除が突然ゼロになる「崖」がなだらかになった。
- 扶養控除が外れると、母親の年間手取りは数万〜10万円超の範囲で減少する。特に大学生(特定扶養63万円)の控除が外れると影響が大きい。
- 児童扶養手当は母親の所得が基準だが、子どもが扶養対象外になると扶養人数が減り、所得制限の限度額が下がる間接的な影響がある。毎年8月の現況届で確認を。
- 年末調整では「扶養控除等申告書」の記入・更新を忘れずに。19〜22歳で特定親族特別控除を使う場合は専用の申告書も必要。
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