シングルマザーが知るべき雇用保険の給付金:失業・育休・傷病時に受け取れるお金
はじめに
シングルマザーにとって、仕事は生活の根幹です。もし失業・病気・育児で働けなくなった場合、「雇用保険」がセーフティネットとして機能します。しかし、雇用保険の給付金は複雑で、申請しなければ一円も受け取れません。
雇用保険の給付金は申請主義であり、自分から手続きをしなければ受け取れません。退職・育休・病気の節目で「自分は何の給付が受けられるか」を把握しておくことが重要です。
この記事では、シングルマザーが雇用保険で受け取れる給付金の種類・受給条件・金額・申請方法を分かりやすく解説します。
1. 雇用保険の基本:加入しているか確認する方法
雇用保険は、週20時間以上働き、31日以上継続して雇用される見込みのある労働者が加入できます。パート・アルバイトでも条件を満たせば加入対象です。
雇用保険に加入しているか確認する方法
給与明細の「雇用保険料」欄に金額が記載されていれば加入しています。記載がない場合は会社に確認しましょう。なお、雇用保険に加入していない場合でも、過去に雇用されていた際に加入していた期間があれば、一部の給付を受けられる場合があります。
雇用保険被保険者証(ハローワークが発行)を持っていれば加入済みの証明になります。入社時に会社から渡されているはずなので、確認してみましょう。
2. 失業給付(基本手当):退職後に毎日受け取れるお金
失業給付(正式名:求職者給付・基本手当)は、失業した場合に次の仕事が見つかるまでの間、給付される手当です。「失業保険」と呼ばれることも多いです。
受給条件
- 離職前2年間に通算12ヶ月以上の被保険者期間がある(特定理由離職者・特定受給資格者は離職前1年間に通算6ヶ月以上)
- ハローワークに求職の申し込みをしている
- 積極的に就職活動をしている
自己都合退職と会社都合退職の違い
| 退職理由 | 給付開始まで | 給付日数 |
|---|---|---|
| 会社都合(解雇・倒産等/特定受給資格者) | 7日の待期後すぐ | 90〜330日 |
| 自己都合(一般) | 7日+1ヶ月の給付制限後 | 90〜150日 |
| 特定理由離職者※ | 7日の待期後すぐ | 90〜330日 (特定受給資格者と同等) |
※特定理由離職者:育児・介護・配偶者の転勤・病気・契約更新なし(雇止め)など、正当な理由により自己都合退職した場合。所定給付日数は特定受給資格者と同じ扱いになります。
📌 2025年4月の改正:自己都合の給付制限が「2ヶ月→1ヶ月」に短縮
2025年4月1日施行の雇用保険法改正により、自己都合退職の給付制限期間は原則「1ヶ月」に短縮されました(5年間で3回以上の自己都合離職は3ヶ月)。さらに離職前1年以内・離職後1年以内に自費で教育訓練を受講した場合は給付制限が解除される特例も新設されています。
給付金額の計算方法
基本手当の1日あたりの金額(基本手当日額)は、「離職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180日 × 給付率」で計算されます。給付率は離職時の年齢と賃金水準により50〜80%(60〜64歳のみ45〜80%)で、賃金日額が低いほど給付率は高く設定されます。
例えば、月収20万円(年収240万円・離職時35歳)のシングルマザーが会社都合で退職した場合:
- 離職前6ヶ月の賃金合計:120万円
- 賃金日額:120万円÷180日=6,667円
- 基本手当日額:6,667円×約65%=約4,330円(1日あたり)
- 月換算(30日分):約13万円
※年齢区分(30歳未満/30〜44歳/45〜59歳/60〜64歳)ごとに基本手当日額の上限・下限額が定められています。最新の上限額は厚生労働省・ハローワークの公表資料で確認してください。
(出典:厚生労働省「雇用保険制度の概要」、ハローワークインターネットサービス「基本手当について」)
3. 育児休業給付金:子どもが1歳まで受け取れる給付
育児休業給付金は、育児休業を取得した場合に受け取れる給付金です。シングルマザーも、要件を満たせば受給できます。
受給条件
- 雇用保険に加入している
- 育児休業を取得している
- 育休開始前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間がある(賃金支払基礎日数11日以上または就業時間80時間以上の月)
給付金額
| 期間 | 給付率 | 月収20万円の場合 |
|---|---|---|
| 育休開始〜180日目 | 67% | 約13.4万円/月 |
| 181日目〜 | 50% | 約10万円/月 |
育児休業給付金は非課税であり、社会保険料も免除されるため、実質的な手取り減少は給付率ほど大きくありません。なお給付額には月額上限(毎年8月に改定)があり、賃金水準が高い場合はこの上限が適用されます。
💡 2025年4月新設「出生後休業支援給付金」とシングルマザーの取扱い
2025年4月から「出生後休業支援給付金」が新設されました。原則は夫婦ともに育休を取得した場合、子の出生後8週間以内の最初の28日間について給付率が80%(雇用保険の育休給付67%+出生後休業支援給付金13%)となり、社会保険料免除と合わせて手取りで約10割相当になります。
シングルマザー(配偶者がいない方)は本人の育休取得のみで対象になる例外規定があります(厚生労働省解釈)。出産予定の方はハローワークまたは勤務先の人事部門で必ず確認してください。
シングルマザーが育休中に注意すること
シングルマザーは一人で養育するため、育休中の収入ダウンは家計に直撃します。児童扶養手当・子ども・子育て支援の給付金なども並行して申請し、育休中の家計を支えましょう。育休中でも、一定額以下の収入であれば児童扶養手当の支給は継続します。
4. 傷病手当・傷病による基本手当延長
シングルマザーが病気やケガで働けなくなった場合のセーフティネットとして、雇用保険の傷病給付・延長制度があります。
雇用保険の「傷病手当」(求職者給付 傷病手当)
ハローワークに求職申し込みをした後、病気やケガで働けない期間が15日以上続いた場合に受給できます。給付額は基本手当と同額で、基本手当を受給できる日数の範囲内で支給されます。
※健康保険の「傷病手当金」(在職中の病気休業時に受給)とは別の制度です。健康保険の傷病手当金は標準報酬日額の2/3を、通算1年6ヶ月まで受給可能(2022年1月施行の改正で「継続」から「通算」に変更)。混同しないよう注意しましょう。
受給期間の延長(病気・育児・介護)
本来、失業給付の受給期間は退職から1年間ですが、病気・育児・介護などの理由で就職活動ができない期間がある場合は、最大4年間まで受給期間を延長できます。手続きの期限は「働くことができない状態が30日経過した日の翌日からできるだけ早めに」です(離職日からではなく、働けなくなった日の30日経過後が起点)。出産予定でお仕事ができなくなる場合は、産休・育休に入ってから手続きをすることになります。
シングルマザーが出産・育児で就職できない場合も、この延長手続きをしておくことで、落ち着いてから求職活動を始めることができます。
5. シングルマザーが知っておくべき特例・優遇措置
雇用保険には、ひとり親世帯向けや就職困難者向けの優遇措置があります。
就職困難者としての給付日数の延長
シングルマザーの中でも、長期間失業している方や、就職活動に困難を抱えている方(児童扶養手当を受給しているひとり親など一定の事情がある方)は「就職困難者」に認定されることで、給付日数が延長される場合があります。
| 算定基礎期間 | 45歳未満 | 45歳以上65歳未満 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 150日 | 150日 |
| 1年以上 | 300日 | 360日 |
就職困難者に該当するかどうかは個別の事情により判断されるため、ハローワークで相談することをおすすめします。
母子家庭自立支援給付金との組み合わせ
ハローワークで雇用保険の給付を受けながら、都道府県・政令市が実施する「母子家庭自立支援給付金(自立支援教育訓練給付金・高等職業訓練促進給付金)」を同時に受給できます。資格取得のための学校に通いながら、一定の給付金を受け取れます。
高等職業訓練促進給付金は住民税非課税世帯で月10万円(最終12ヶ月は月14万円)、住民税課税世帯で月7万500円(最終12ヶ月は月11万500円)、最長4年間支給される強力な制度です。資格取得後の就職活動・収入見込みを含めた具体的な活用ステップは、関連記事『シングルマザーのキャリアアップ完全ガイド』をご参照ください。
介護休業給付金
家族(親・配偶者・子など)の介護のために休業した場合、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。賃金日額の67%、対象家族1人につき最長93日(3回まで分割可)。シングルマザーで親の介護が必要になった場合に活用できる制度です。
6. 失業給付の申請手順:ハローワークで行う4ステップ
失業給付を受けるためには、ハローワークで以下の手続きをします。
ステップ1:離職票を会社から受け取る
退職後、会社から「雇用保険被保険者離職票」(1票・2票)が届きます。通常退職後10日〜2週間以内に届きますが、なかなか来ない場合は会社に催促しましょう。
ステップ2:ハローワークで求職申し込みと受給資格の認定
離職票を持参してハローワークで求職申し込みをします。必要書類は離職票(1票・2票)、マイナンバーカード(または通知カード+身分証)、顔写真2枚、印鑑、通帳またはキャッシュカードです。
ステップ3:説明会への参加
申し込み後、ハローワークで実施する受給説明会に参加します(オンライン視聴可能なケースも増加中)。日時はハローワークから通知されます。
ステップ4:4週間ごとの認定日に来所する
失業認定日(4週間ごと)にハローワークへ来所し、求職活動の実績を申告します。原則4週間で2回以上の求職活動実績が必要(最初の認定や給付制限期間中など特例あり)。認定された分の給付金が、認定日から5営業日程度で指定口座に振り込まれます。
7. 給付金が止まってしまうケース:注意すべきポイント
せっかく給付金の受給資格があっても、以下のケースでは給付が停止または取り消しになることがあります。
- 就職(アルバイト含む)した場合:週20時間以上のアルバイトは「就職」と判断され給付が止まります。週20時間未満でも申告した上で受給継続できます(収入額により給付額が減額される場合あり)
- 認定日に無断欠席した場合:認定日は必ず来所が必要です。事情があれば事前にハローワークに連絡を
- 求職活動実績が不十分な場合:原則、4週間に2回以上の求職活動実績が必要です
- 申告なしに収入を得た場合:必ず申告が必要です。申告漏れは不正受給になり、3倍返納等のペナルティがある場合があります
まとめ:雇用保険の給付金はシングルマザーの強いセーフティネット
- まず加入確認:給与明細の雇用保険料欄をチェックする
- 退職したらすぐハローワークへ:離職票が届いたらすぐに求職申し込みを行う
- 2025年4月の改正に注意:自己都合の給付制限が1ヶ月に短縮、出生後休業支援給付金が新設
- 特例・延長制度も確認:育児・病気・資格取得時の延長や優遇措置を活用する
- 母子家庭支援制度と組み合わせる:高等職業訓練促進給付金との組み合わせでキャリアアップも可能
もし手続きに不安がある場合は、ハローワークの専門相談員に遠慮なく相談してください。シングルマザーの支援に慣れた相談員が丁寧に案内してくれます。
(出典:厚生労働省「雇用保険制度の概要」、厚生労働省「令和7年度 雇用保険法改正の概要」、ハローワークインターネットサービス「基本手当について」「育児休業給付について」「就職困難者の方へ」、こども家庭庁「ひとり親家庭等自立支援事業」)
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