離婚後の年金分割とは?シングルマザーが知るべき厚生年金分割の手続きと受給額
はじめに
離婚を経験したシングルマザーの方に知っておいていただきたい制度が「年金分割制度」です。年金分割を申請しないままでいると、老後に受け取れるはずのお金を丸ごと損してしまうことになります。月数千円から数万円の差が生まれることもあり、老後30年間で考えると非常に大きな金額です。
この記事では、年金分割制度の仕組み・2種類の違い・手続きの流れ・実際にいくら増えるかのシミュレーションまで解説します。
📊 統計データ
2022年度の年金分割請求は約7万1,000件。一方、離婚件数は約18万件(厚生労働省)。申請できる方が申請していないケースが多いと考えられています。
1. 年金分割制度とは:2種類の違い
年金分割とは、婚姻期間中に夫婦が納めた厚生年金の保険料納付記録を離婚時に分割できる制度です。「夫の年金をそのままもらう」のではなく、「婚姻期間中の納付記録を分け合う」仕組みです。
3号分割は婚姻中に第3号被保険者(夫の扶養に入っていた方)が利用でき、元夫の同意なしに手続きできます。2008年4月より前の期間が含まれる場合は、3号分割と合意分割を組み合わせて申請するのが一般的です。
2. 年金分割でいくら増えるか
分割で増える金額は、元夫の婚姻期間中の標準報酬月額と婚姻期間の長さで決まります。受け取れるのは自分が65歳(または繰り上げ受給)になってからです。
ケースCのように月2万円の増加があれば、老後20年間で約480万円の差になります。正確な金額は年金事務所で「情報提供請求書」を提出すると試算してもらえます。
3. 手続きの流れ:請求期限に注意
⚠️ 注意
2026年4月1日施行の改正民法により、合意分割の請求期限が延長されました。2026年4月1日以降の離婚は5年以内、それより前の離婚は2年以内です。期限を過ぎると原則申請できません。
STEP 1:年金事務所で情報提供を受ける
最寄りの年金事務所に予約を取り、「年金分割のための情報提供請求書」を提出します。分割した場合の見込み額が記載された「情報通知書」が送付されます。
STEP 2:分割割合を決める(合意分割の場合)
元夫と話し合って分割割合を決め、合意書を作成します。元夫が協力しない場合は家庭裁判所に調停・審判を申し立てられます。3号分割の場合はこのステップは不要です。
STEP 3:年金事務所に請求書を提出
4. 年金分割と老後の家計設計
年金分割で受給額が増えることは間違いありませんが、それだけで老後の生活費すべてをまかなえるわけではありません。65歳以上の単身女性の平均消費支出は月約15万円(総務省「家計調査」2023年)。年金分割後の受給額が月10万円前後の場合、差額5万円は貯蓄や就労収入で補う必要があります。
年金分割は老後資金計画の「一部」として捉え、NISA・iDeCoなどの資産形成や繰下げ受給と組み合わせることが重要です。詳しくは関連記事「NISA・iDeCo入門」「老後資金ガイド」をご参照ください。
5. 共済年金・iDeCo・企業年金との関係
元夫が公務員だった場合、2015年10月の統合後の期間は厚生年金として分割対象になります。それ以前の共済年金期間は共済組合への問い合わせが必要です。
iDeCo・企業型DC・確定給付企業年金は年金分割の対象外です。ただし離婚時の財産分与の対象になる場合があるため、離婚協議の中で検討しましょう。
6. よくある疑問 Q&A
Q. 離婚から5年経っていますが申請できますか?
A. 2026年4月1日より前の離婚は原則2年以内が期限のため、5年経過では原則請求できません。ただし例外もあるため、年金事務所に問い合わせてみてください。
Q. 元夫が再婚していても分割できますか?
A. はい。あなたの婚姻期間中の記録に対する分割は元夫の再婚に影響されません。
Q. 手続きにお金はかかりますか?
A. 年金事務所への請求自体は無料です。合意分割で公正証書を作成する場合は数千円〜1万円程度の手数料がかかります。
まとめ
- 年金分割は申請するだけで将来の年金が増える、コストパフォーマンスの高い手続き
- 3号分割は元夫の同意不要で手続き可能
- 請求期限に注意(2026年4月以降の離婚は5年以内、それ以前は2年以内)
- まず年金事務所に電話して予約を取ることが最初のステップ
- 年金分割だけでは老後資金が不足する場合、NISA・iDeCoと組み合わせる
運営者
FP相談1,200人以上の経験とWeb事業7年、自身の離婚・資産形成経験をもとに「ママ、大丈夫」を開発。年収200〜300万円のシングルマザーが、専門家に頼らず家計の未来を把握できるサービスを目指しています。

