はじめに
「国民年金保険料、毎月の通知書が来るけど払えていない……」「未納のまま放置していたらどうなるの?」と気になっていませんか。フリーランスや無職の期間があるシングルマザーにとって、月17,920円ほどの国民年金保険料は決して小さな負担ではありません。
でも、ここで知っておきたいのは、「未納」と「免除」はまったく違うものだということ。免除を申請しないまま放置すると、将来の老齢基礎年金が減るだけでなく、万が一のときの障害年金・遺族年金まで受け取れなくなるリスクがあります。逆に免除を申請しておけば、保険料を払えなくても年金記録は残り、後からの追納で満額に近づけることも可能です。
📊 この記事でわかること
- 「免除」と「未納」の決定的な違い
- 全額免除・一部免除・納付猶予の所得基準と申請方法
- 追納のメリットと、老後年金額のシミュレーション
1. 国民年金保険料の基本(2026年)
国民年金は、20歳以上60歳未満の国民全員が加入する制度です。所管は厚生労働省、運営は日本年金機構で、根拠法は国民年金法です。
2026年度(令和8年度)の国民年金保険料は月額17,920円(毎年改定)。年間で約21.5万円の負担になります。シングルマザーで自営業・フリーランス・無職の場合、これを納め続けるのは負担が重く感じられて当然です。
「未納」と「免除」の違い
同じ「保険料を払っていない」状態でも、未納と免除では将来の年金がまったく変わります。払えないなら必ず免除を申請する——これが国民年金で押さえるべき最重要ポイントです。
2. 全額免除・一部免除・納付猶予の所得基準
国民年金保険料の免除には、所得に応じて次の段階があります。所得基準は前年所得が基準です(毎年7月以降に新しい免除年度が始まります)。
たとえばシングルマザーで子ども1人を扶養している場合、全額免除の所得基準は(1+1)×35万円+32万円=102万円が目安。前年所得が102万円以下なら全額免除が認められる可能性が高いということです。
あなたの所得で全額免除になるかは、扶養人数や控除で変わります。
3. 法定免除と産前産後免除
申請しなくても自動的に免除される法定免除もあります。
- 生活保護の生活扶助を受けている
- 障害基礎年金1級・2級を受給している
- 厚生労働大臣が定める施設に入所している
これらに該当する場合、自動で全額免除扱いになります。
また、出産前後の女性のための産前産後免除制度もあります。出産予定月の前月から4ヶ月間(多胎妊娠の場合は3ヶ月前から6ヶ月間)の保険料が免除されます。免除期間は満額の年金額に反映されるのが大きなポイント(追納の必要なし)。シングルマザーで自営業の妊婦さんは、必ず申請しておきましょう。
4. 申請の流れ
申請は市区町村役場の国民年金担当課または年金事務所で行います。手続きはシンプルで、所要時間は窓口で30分ほどです。
- 申請書の入手:市区町村役場・年金事務所の窓口、または日本年金機構のウェブサイトから入手
- 必要書類の準備:年金手帳または基礎年金番号通知書、本人確認書類、(場合により)失業を証明する書類
- 申請書の提出:市区町村役場の窓口、または郵送
- 審査:日本年金機構で審査が行われる(2〜3ヶ月程度)
- 結果通知:免除等が認められると、結果が郵送される
注意点として、免除は遡って申請できる期間が限定的です。前年度7月分まで(毎年7月切替)が遡及上限の目安です。「今月から払えない」と思ったら、できるだけ早く申請するのが鉄則です。
5. 追納のメリットと損益分岐点
免除を受けた期間は10年以内であれば追納できるのが大きなメリットです。後から経済的に余裕ができたタイミングで保険料を支払えば、その期間が満額の年金額に反映されます。
追納のメリットは、老後年金が増えるだけではありません。社会保険料控除として追納した分が全額所得控除になるため、所得税・住民税が軽くなる効果もあります。年収300万円で限界税率が15%なら、年間20万円の追納で約3万円の節税が可能です。
追納のタイミング
- 免除から3年以上経つと加算金が発生(早めの追納が有利)
- 追納できる期間は免除を受けた月から10年以内のみ
- 所得が一時的に上がった年(賞与・副業収入が増えた年など)は節税効果が大きい
「追納して老後年金を増やすか」「目の前の貯蓄を優先するか」は家計全体のバランスで判断したいところです。
6. 老後年金額シミュレーション(3パターン)
40年(480月)すべて納付した場合の老齢基礎年金が満額。令和8年度(2026年度)の満額は年額847,300円(月額70,608円・昭和31年4月2日以降生まれ)です。
10年間(120月)を全額免除+追納の有無別に比べてみましょう。
免除のみの場合(C)は、未納(D)に比べて年額10万円以上、生涯で200万円以上の差がつきます。免除申請をするだけで、老後の年金が大きく変わってくるのです。あくまで概算で、最新の年金額は日本年金機構のねんきんネットなどで確認してください。
7. シングルマザーが押さえるべき免除申請のポイント
失業時は離職票の特例が使える
離職票や雇用保険受給資格者証を提示すれば、所得審査の対象から「本人の前年所得を除外」する特例が使えます。離婚直後で前年所得が高かった場合でも、失業中なら全額免除が認められやすくなります。
免除は世帯主・配偶者の所得も判定対象
同居の世帯主がいる場合、その所得も審査対象です。実家に戻っているシングルマザーは、両親の所得が高いと免除が認められないことがあるので注意してください。
毎年の更新を忘れない
免除申請には継続審査の仕組み(前年度承認分が翌年度も継続審査される)がありますが、状況の変化で対象外になることもあります。毎年7月の切替時に必要に応じて再申請してください。
追納は所得控除でダブルでお得
追納した保険料はその年の社会保険料控除の対象になります。年収300万円の場合、年20万円追納すれば所得税・住民税で約3万円の節税効果が見込めます。「年金を増やす+税金を減らす」の二重メリットで、家計改善のレバーとして使えるのが追納の魅力です。
納付免除中も保険料を一部納める「付加年金」の検討
付加年金(月400円の上乗せ納付で将来の年金が月額200円×納付月数増額)は、第1号被保険者の任意制度です。免除を受けている期間中は付加年金は納められませんが、所得が回復して納付に戻った段階で活用すると、長期で確実に老後年金を増やせます。
8. 産前産後免除制度の詳細(妊婦さん必見)
第1号被保険者(自営業・無職など国民年金加入者)の妊婦さんが対象になる産前産後免除制度は、特に重要なので別途詳しく解説します。
免除される期間
- 単胎妊娠:出産予定月の前月から4ヶ月間
- 多胎妊娠(双子・三つ子):出産予定月の3ヶ月前から6ヶ月間
申請のタイミング
出産予定日の6ヶ月前から申請可能です。出産後の手続きでも遡及申請できますが、忙しさで忘れがちなので、母子手帳をもらいに行くタイミングで一緒に手続きするのがおすすめです。
「免除」と違って満額カウント
通常の全額免除は老齢基礎年金額に1/2しか反映されませんが、産前産後免除は満額納付したのと同じ扱いになります。追納の必要もありません。妊婦のシングルマザーにとって最強の制度の一つです。
9. 関連記事で老後資金を整理
年金は老後資金の大きな柱です。免除制度の活用と並行して、老後設計全体を確認しておきましょう。
離婚時の年金分割については離婚後の年金分割とは?を、新NISAやiDeCoでの上乗せ準備はシングルマザーのための新NISA・iDeCo入門を参考にしてください。
10. iDeCo・小規模企業共済との合わせ技
国民年金免除を受けているシングルマザーで、所得が回復してきた段階でぜひ検討したいのがiDeCo(個人型確定拠出年金)と小規模企業共済です。どちらも掛金が全額所得控除になり、節税しながら老後資金を積み立てられます。
iDeCoの基本
- 第1号被保険者(自営業・フリーランス):月最大68,000円まで掛金可能
- 第2号被保険者(会社員):月最大23,000円(企業年金なしの場合)
- 運用益は非課税、受取時は退職所得控除・公的年金等控除を活用
小規模企業共済(自営業のシングルマザー向け)
月1,000円〜70,000円までの掛金で、廃業時・退職時に共済金として受け取れる制度です。掛金は全額所得控除、共済金受取時にも退職所得扱いで税優遇があります。
免除中はNISA・iDeCoは控えめに
国民年金保険料の免除を受けている期間中に、無理してNISAやiDeCoに資金を回すのは本末転倒です。まずは追納で老齢基礎年金の満額を回復し、その後でNISA・iDeCoに進むのが理にかなった順序です。家計に余裕がない時期は「追納>投資」を意識してください。
国民年金保険料免除中はこれらの制度活用は控えめにし、追納の余裕が出てきたタイミングで併用を始めるのが現実的です。家計全体のバランスは家計診断で確認しましょう。
最後に
「いま払えない」と「将来年金を捨てる」は別物です。免除を申請するだけで、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の3つすべてを守ることができます。
そして余裕が出たタイミングで追納すれば、老後の年金は満額に近づけられます。追納分は所得控除として税金も減らせるため、節税と老後資金準備を同時に進められる仕組みでもあります。
毎月17,920円の負担をどうするかは、家計全体のなかで考える話です。あなたの家計で、いま免除を選ぶべきか、追納していくべきか——まずは無料診断で全体像を把握してみませんか。
(出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」「追納制度」、国民年金法、厚生労働省)
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FP相談1,200人以上の経験とWeb事業7年、自身の離婚・資産形成経験をもとに「ママ、大丈夫」を開発。年収200〜300万円のシングルマザーが、専門家に頼らず家計の未来を把握できるサービスを目指しています。

